蠅(日語小說連載)2

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    馬は一條(ひとすじ)の枯草(かれくさ)を奧歯にひっ掛けたまま、貓背(ねこぜ)の老いた馭者(ぎょしゃ)の姿を捜している。
    馭者は宿場(しゅくば)の橫の饅頭屋(まんじゅうや)の店頭(みせさき)で、將棋(しょうぎ)を三番さして負け通した。
    「何(な)に? 文句をいうな。もう一番じゃ?!?BR>    すると、廂(ひさし)を脫(はず)れた日の光は、彼の腰から、円(まる)い荷物のような貓背の上へ乗りかかって來た。