2016年職稱日語測試C級:閱讀素材(49)

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歳月がながれて三十數年ぶりだった。新聞社の取材に応じて、京都下鴨宮崎町、鴨川のほとりを訪れた。
    新聞社の夕刊には、青春の地を訪ねる連載があった。私にもその注文が來たのである。
    四條大橋の西側たもとで待ち合わせることにした。私は東京から、新聞社の人は大阪からである。小雨が降っていた。約束の十時前に新聞社の車がきた。
    その界隈の町並はほとんど変っていない。銭湯も郵便局も小學校もそのままだ。変っているのは松竹下加茂撮影所が、某會社の倉庫になっていることだ。その小路は、撮影所のすぐ近くにあった。
    通りで車を下りて、小路へはいっていくと二軒長屋がある。この一軒に私は、昭和十七年春から十八年の秋まで住んだ。
    二階建ての長屋だったが、これ以上小さくは作れないだろうと思えた。階下が二畳と四畳半、二回が三畳と六畳、京都式の玄関から裏へ通し土間があって、二坪ほどの植木のない庭があった。
    むかしのままだった。時のながれが急に消えた。玄関の格子戸も二階の窓も少しも変っていない。ただ、二軒がそのまま右へこころもちかしいでいた。
    私が住んでいたのは向かって左である。玄関格子戸に手をかけたが開かない、見れば鍵がかかっている。隣の家の格子をあけて聲をかけた。主婦が奧の四畳半から玄関の二畳へ現れた。私の家と同じ間取りなのである。
    「隣にいた新藤ですが」