2016年職稱日語測試C級:閱讀素材(51)

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私は、溝口健二監(jiān)督に読んでもらうためのシナリオをいく本も書いたが、ついにものにはならなかった。外には毎日のように出征兵士を送る歌が聞こえ、また戦死の遺骨を迎える行列があった。私と妻は、その歌や、その沈黙を、家の中で身をひそめて、息を殺し聞いた。私たちは大きく流れる時(shí)の中で、ただ抱き合っているほかはなかった。
    妻が、突然、血を吐いて倒れたのは一年たった初夏だった。結(jié)核にかかったら死を待つほかない時(shí)代である。痩せ細(xì)り、八月の朝死んだ。
    たった一人、隣の若い細(xì)君が、妻の死顔のそばににじり寄って、小さな體をかがめて泣いてくれた。